寺山修司『サード』 稽古日記

菅原文太になったつもりで
小便くさい深夜映画館
スルメをかじりながら
おれはスクリーンの中へと入っていった
あいつらを
ぶんなぐるために
長いあいだ
がまんしてたんだ 集団就職してきた日から
安い月給で
唇噛んで
だがとうとう復讐の日は
やってきた
「この野郎!ドバッ!血しぶきをかましてやる」
思うだけでも
ゾクゾクする
おれは生まれかわったんだ
あなただけよと
梶芽衣子が言った
おれは満足して
前の席に足をのせて眠った
一番しあわせなねぐらは
いつでも深夜映画館
目が覚めたら
朝だった
ハックション
くしゃみして
帰ってゆく
仕事はつらくて
月給は安い
人目を忍ぶかりのすがた
土曜日にはまた
帰ってくるんだ この映画館
その日まで
アバヨ
アバヨ
アーバヨ 劇中歌、“菅原文太を観にゆく歌謡曲”である。「(すでに田中未知によって作曲ずみ。レコードあり)。」とあるが、舞台化にあたりシィザーが作曲。今回唯一の合唱曲である。名曲だ。


集団就職を知らない、深夜映画館に行ったこともないのに、この曲が胸にぐっと響くのは何故だろうか。。
今回の舞台で高校生を演じる俳優は20代前半〜40代後半までと幅広い。しかし彼らが一緒になってこの歌を歌っていると、同じ時代を生きてきたような、いろんなやつがいていいんだと言われているような、なんとも不思議な感覚にとらわれる。

映画「サード」をリアルタイムで観た方にも、観たことも聞いたこともない方にも、是非観て頂きたい舞台版「サード」。
開幕まであと16日だ。
(7月19日・森)

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